無限のファンタジアで生きるツバキ・ヒオリ(a78458)の呟きや日記色々
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うっすらと開けた瞳に朝日が差し込み、耳に真新しい声が二つ、響く。
汗で湿った布団がじんわりと背中に張り付き、気持ち悪さで目が覚めた。
視線を泳がせた先には、穏やかで誰も叶わないであろう笑顔の母、胡蝶。
「よくがんばったわね、椿姫。…双子よ。
女の子と、黒い尾の兎人の男の子。」
嬉しさで視界があっという間に滲む。願っていた愛しき鷹との、未来へ続く確かな道筋。
事実を確かめたくても、体が言うことを聞かない上に、声も出ない。
何せ、夜中からの陣痛で体力が消耗しきっているから、起き上がるなんて無理な話で。
「まだ起き上がっちゃダメよ。連れてくるから、待ってなさい。ね?」
数刻もしないうちに腕に抱かれた二つの新しい命が、ここ!と
いうように、我先に手を伸ばしている。
母となった、彼女の力の抜けた腕が伸びる。
顔に近づけ、存在を確かめる。零れた笑顔は、涙と一緒だった。
「……ずっと、会いたかったのです。……ありがとう、来てくれて……。」
柔らかな頬に触れ、まだ見えていないはずの目が、口元が柔和な笑顔を作り出す。
驚いて首を持ち上げれば、雷が落とされた様な激痛が全身に走る。
悶絶する痛みを堪え、天井を見上げる。
「“父"になった、只一人の方にお報せを…しなければなりませんね」
頭に過ぎるは、黒い髪の兎尾を持つ、生涯愛する事を誓った鷹。
どんな顔をするかとかの想像は捨てて、貴方にこの知らせを届けたい。
愛しい存在が、増えた喜び。貴方の手を握って一杯話しましょう。
「名前…考えなきゃ、ですね」
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