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無限のファンタジアで生きるツバキ・ヒオリ(a78458)の呟きや日記色々
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冒険者となり、右も左も分からない自分に声を掛けてくださった皆様…

旅団でたのしく過ごしたひと時…

とても、とても幸せな日々…本当に嬉しかった…。

 

こうして長い人生を振り返ってみると、全てが眩しくて…

いつかの依頼主が、思い出が人生が、キラキラした宝石のような…と

おっしゃていたのを思い出します…。

日々に、人に、言葉に出来ないくらいの感謝を。

  

  

筆をおき、窓の外を見る。

人生の伴侶と共に帰ってきた故郷の地。

庭には孫が元気よく駆け回っている。

陽の光を眩しそうに見つめる中、縁側の柱に黒髪の小さな兎人の孫が

本を片手にうずくまっている。

「どうかしましたか。……え?…恥ずかしくって一緒に遊んでと言えない、ですか?」

一時思慮を巡らせ、ふと思いつくと孫を手招く。

「……これを。私が冒険者をしていた時につけていたものです。

恥ずかしくなったらこちらを被りなさい。きっと貴方を勇気付けてくれるものだから。」

お面を手渡し、孫の背中をぽんとかるく叩く。

孫はこくりと頷くと勇気を貰ったように走り出す。

背中を見送ると柔らかく微笑んで、部屋に入り障子を静かに閉めた。

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うっすらと開けた瞳に朝日が差し込み、耳に真新しい声が二つ、響く。

汗で湿った布団がじんわりと背中に張り付き、気持ち悪さで目が覚めた。

視線を泳がせた先には、穏やかで誰も叶わないであろう笑顔の母、胡蝶。

 

「よくがんばったわね、椿姫。…双子よ。

 女の子と、黒い尾の兎人の男の子。」

 

嬉しさで視界があっという間に滲む。願っていた愛しき鷹との、未来へ続く確かな道筋。

事実を確かめたくても、体が言うことを聞かない上に、声も出ない。

何せ、夜中からの陣痛で体力が消耗しきっているから、起き上がるなんて無理な話で。

 

「まだ起き上がっちゃダメよ。連れてくるから、待ってなさい。ね?」

 

数刻もしないうちに腕に抱かれた二つの新しい命が、ここ!と

いうように、我先に手を伸ばしている。

母となった、彼女の力の抜けた腕が伸びる。

顔に近づけ、存在を確かめる。零れた笑顔は、涙と一緒だった。

 

「……ずっと、会いたかったのです。……ありがとう、来てくれて……。」

  

柔らかな頬に触れ、まだ見えていないはずの目が、口元が柔和な笑顔を作り出す。

驚いて首を持ち上げれば、雷が落とされた様な激痛が全身に走る。

悶絶する痛みを堪え、天井を見上げる。

 

「“父"になった、只一人の方にお報せを…しなければなりませんね」

  

頭に過ぎるは、黒い髪の兎尾を持つ、生涯愛する事を誓った鷹。

どんな顔をするかとかの想像は捨てて、貴方にこの知らせを届けたい。

愛しい存在が、増えた喜び。貴方の手を握って一杯話しましょう。

  

「名前…考えなきゃ、ですね」

 

 

「お腹、目立ってきたわねぇ」

  

感嘆まじりにしげしげと姉は呟くと、入れたてのお茶を口に含む

そうでしょうか、と笑みを零しながら目立ってきたお腹を抱えた女性…

赤く長い髪を襟足から胸元へ一つに流し、毛先を鬼灯の髪飾りで纏めた

菊花の香る大人となった、ツバキの姿がそこにあった。

お茶を持って姉の隣へ座ると両の掌で愛しい存在を撫でる

 

「最近は特に動いてボクのお腹を蹴飛ばすのですよ…!」

  

時流れるは早く、生み月も目前に控え

嬉しそうに言葉を紡ぐ姿に思わずこちらの顔も綻ぶ。

何と無しに手を伸ばし、ツバキの頭を撫でまわす

 

「旦那様にも姉様にも…頭を撫でられてばかりいる気がします…」

  

もうすぐ母となる身を子供扱いしないでくださいまし、と頬を紅潮させ膨らますと

ぷいと顔を背けて、連れ添っている黄色い小鳥と遊びだした。

そこがまだまだ…なんて口には出さずに笑い声だけ零すと

また笑いましたね…!と詰め寄って。彼女のその行動にまた笑みが寄せる

生まれたらもっと騒がしくなること間違いないだろうけど

楽しみであることに変わりはないし、伯母莫迦といわれようが

きっと溺愛するんだろうなぁ…、なんて。

言葉を掛けた先にはだんまりを決め込んだ月が一つ、あるだけだった。

ひ、久しぶりにわたくしが話せるなんて…!

(コホン…!気を取り直して…)

最近のツバキは熱心に、祭や神事にまつわることを調べたり

勉強をしているようですの。

良き変化があったようで、わたくしは嬉しい限りですわ

なんだか、親の心境ですわねw

  

ただ…、なにやら気分が悪そうに寝ていることが多い様に感じますわ

ツバキは平気と言い張るのですが…

わたくしの心配のしすぎであればいいのですが、ね

闇に包まれた無音の部屋に光を灯し、布団をいそいそと曳くと

ばふんっと、柔らかい感触に包まれて顔をうずめる

 

「長かったような…短かったような…」

  

そう呟いたのは、つい数日前まで帰省していた実家の情景

旅路の疲れからか、瞼がいやに重い

閉じられていく瞳を起こすようにごしごしとこする

羽毛を潰されてもさっとしている小鳥の、怒りの鳴き声を聞き流しながら

持ち帰った荷物を広げると、白い封筒が衣服に挟んである

文…?裏返し、見た名前は母のもの

すぱりと封を切り、綺麗な字で綴られた言の葉を目で追う

 

 「…~~っ………」 

 

言葉にならない、と言えばいいのか…照れるような、気が早いような気がする内容に

顔は紅潮して布団を頭から被ると、手足をじたばたさせて

必死に恥ずかしさを打ち消そうとしている

ふと、伸ばした左手に輝く紅石を見つめる

噛み締めた幸せがあって思わず顔をほころばせる

  

  

いつの間に寝たのだろう?と疑問に思いながら、朝陽が登る時間に覚める意識

ふらりとする体を起こし、中途半端に呼んでいた母の手紙にもう一度目を通すと、

驚きのあまり声が詰まってしまった

それは自分の想像の範囲でしかないが、見た夢と内容が一緒だったから…

少し考えた後に

  

「伝えてみるのもアリなのでしょうか…?」

 

恥ずかしくて口に出したならば、はしたないと思われてしまう…

しばらくは内緒にしておこうかな、なんて零した笑い声が寝室に響く

さぁ…朝ごはんと着替えを済まして出かけましょうか

登りきった朝陽は微笑んでいた

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